大学入試問題で美術検定対策―2020年早稲田大学文学部「世界史」

早稲田大学文学部「世界史」の入試問題では毎年美術史に関する大問が出題されるという特徴があります。文化史が殆ど出題されない大学や出題されても文学史の大学がある一方、美術史だけの大問があるのは非常に珍しい傾向だと思います。これらの問題は美術検定対策に有用であると考えています。

今回は2020年の文学部「世界史」の入試問題を美術検定対策の視点から解いていきたいと思います。

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問題

〔Ⅷ〕次の文を読み設問に答えなさい。

 戦災や革命などによって数多くの著名な美術作品やモニュメントが失われてきた。今日我々が目にするのは、たまたま破壊を免れたものといえる。中国では、清の雍正帝・乾隆帝の時代に建築と美術工芸の粋を集めて造営された離宮 A は、アロー戦争の際に英仏両軍によって徹底的に略奪破壊され、1900年の八カ国連合軍の焼き討ちで更に荒廃した。かつて建物を飾った美術品は各国に散逸し、遺跡は今も廃墟のままである。

 西欧世界に目を移すと、(ア)クリュニー修道院は巨大かつ壮麗な威容を誇っていたが、フランス革命によって破壊されてしまった。19世紀にはセーヌ県知事オスマンによる(イ)パリの全面的な都市改造事業のために石材を供給し続け、現在では一部を残して空地が広がるばかりである。一方、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂には(ウ)ジョットの有名なフレスコ画があるが、第二次世界大戦中にこの礼拝堂に隣接する聖堂で連合軍の爆弾が炸裂し、ルネサンスの巨匠マンテーニャの作品が損壊した。ジョットの絵が爆撃をのがれたのは僥倖にすぎない。

図は原題を損なわない範囲で適宜改めた。
設問文や問題は美術検定の形式に合わせて適宜改めた。


解答・解説は次のページです。

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