今回は平成30年度(2018年度)に行われた大学入学共通テスト「倫理」の試行テストから日本と東洋の美術史に関係する問題を取り扱います。大学入試共通テストでは、知識を基に問題文や資料から情報を読み取る問題が多く出題されます。これらは美術検定の「知識・情報の活用問題」と考え方が類似しており、美術検定対策にも利用できると考えています。
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問題 第2問A
日本人にみられる人間観、世界観、宗教観などの特質に関する次の留学生と先生の会話文を読み、問いに答えよ。
留学生:この週末、「日本の宗教美術」という展覧会を見に行ってきました。とても面白かったです。
先生:それはよかったですね。何か印象に残った作品はありましたか。
留学生:はい。展覧会のチラシのこの図(図1)なのですが、これは那智の滝を描いているのですね。滝は自然物でしょう。どうして宗教美術の展覧会に滝の絵が展示されているのでしょうか。とても不思議に思いました。
先生:それは、 a だと思いますよ。
留学生:ああ、そういうことですか。それからこちらの図(図2)ですけれど、ずいぶんいろいろな仏や菩薩の姿が描かれていますね。私の出身地である b では、 c が信仰されていて、仏像というと釈迦牟尼仏がほとんどですから、とても驚きました。
先生:この図にはいろいろな仏や菩薩が描かれていますが、このような図を d といって、仏の悟りの完全な世界を表していると言われています。一番外側には、人喰い鬼まで描かれていることもあるのですよ。
留学生:えっ。仏の完全な世界に何で鬼が必要なのですか。
先生:それは、あらゆるものを排除せずに、仏の真理の一つの現れとして意味づけようとする考え方を表しているのだと言われています。
留学生:同じ仏教と言っても、いろいろですね。

問題文・図は原題を損なわない範囲で適宜改めた。
解答・解説は次のページです。
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